菱形基線とは、地球の表面の歪みを知るために特に設置されたもので、その配置測標4点が菱形を形成しているので命名された。
選定された4点の相互の距離を測定し、繰り返し測量することによって菱形の面積の変化、土地の水平変動及び歪みを検出し、主として地震予知の資料として役立たしめるものである。
                                         新ハイキング社 「一等三角点のすべて」より引用
但し、現在ではGPSによる測量がこれに取って代わり、菱形基線測点の観測は行われていない。それ故に現在これらの測点は歴史的遺産としての価値の高い存在である。
  菱形基線は全国16箇所に設置され、県内では、吉祥山山頂の基線測点が登山の際に容易に目にすることができるのみで、他の基線測点は藪に埋もれているのが現状である。

基線測点は、通常天測点と同様にコンクリート製の観測台のものが殆どであるが、愛知県のものは全て地上埋設となっている。
観測方法については、国土地理院湊調査専門職より詳細な説明をいただいたので、下記に引用させていただく。

観測機器を覆うため仮設の小屋を建ててシート等で風を防ぎ、三脚をセットして、その脚部には杭を打ち込み石膏等で固定した。
垂直器等で「十印」中心と観測機器のセンターを一致させ、器械高を測定。
なお、観測時間帯は、1日のうちで気象条件の一番安定している時間帯に行われ、日没を挟んだ4時間で6セット(日没前3セット、日没後3セット)を測定。その間は、10分毎に気象観測(温度(乾・湿)、気圧)を行った。
※ ただし、気象の条件によって日の出前後4時間で観測がされることもある。
測量は、日を改めて2日間行われ、その日のセット内較差、セット間較差及び日間較差により測量の精度確認を行った。
基線測点No.25 茶臼山(北端点) 選点:昭和44年2月17日 観測:昭和44年3月8日
茶臼山公園から林道を下った東側の雑木林にある。尚、本点に関しては 舘沢省吾様にご教示を賜りました。                  
基線測点No.26 大洞山(西端点)   選点:昭和44年2月17日 観測:昭和44年3月6日
大洞山泉竜院に祀られた八十八体の石仏の七十番の東にある。                    
基線測点No.27 風切山(東端点)   選点:昭和44年2月17日 観測:昭和44年3月8日
腕扱山麓の重川池から伸びる新城市「健康の道」から凡そ2.5キロ進んだ西にある。
基線測点No.28 吉祥山(南端点)   選点:昭和44年2月15日 観測:昭和44年3月10日        
吉祥山山頂の三等三角点「西川村」の東にある。                          

本稿に関しては、上西勝也氏、国土地理院中部測量部の成田次範氏に一方ならぬお世話になりました。
この場をお借りして深謝申し上げます。



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